「やる気スイッチ」という言葉を知っているだろうか。
この某企業のキャッチフレーズから、やる気はスイッチのようにON /OFFで切り替えられるという誤った認識を感じるのは僕だけだろうか。
やる気はもっと連続的な、グラデーションのある概念だと思っている。
そう、例えるなら「やる気ペダル」だ。
自転車のペダルは漕ぎ始めが一番重い。
片方の足で地面を何度か蹴って、車体に勢いをつける。
慣性の法則に従って、バランスを保ったまま動き出した自転車。
サドルにまたがり、両足のペダルに力をこめる。
すると、段々スピードが出てきて、タイヤの回転数が上がり、チェーンも滑らかに滑り出す。
そうして、少しずつペダルが軽くなってくるのだ。
やる気というのも、おそらくこのアナロジーで語れるのではないだろうか。
「やる気が出ない」と何もしていない状態こそ、実は最も腰が重い。
始める前のグダグダこそが乗り越えるべき壁である。
一度始めてしまえば、あとは目の前のやることを夢中でやるだけ。
そこにのめり込めないやつは何をやっても上手くいかないと僕は思っている。
思えば、習慣化やルーティンワークというのは、初動のハードルを低くし、迅速に取り掛かるために生み出されたものであった。
やる気は「ペダル」の形をしている。
漕ぎ始めるのが一番辛い。