微積で解いて得する物理―力学/電磁気学がスラスラ解ける
本書では、物理の本質を扱います。「物理に微積を用いる」というと「裏ワザ」のように聞こえるかもしれませんが、本来は、微積があってこその物理なのです。中途半端な「ゆとり」主義が、微積を物理から排除し、受験生に、「物理は公式を覚えるだけのつまらない教科」という印象を植え付けてしまいました。しかも、数学のほうでは真顔で微積を教えているにもかかわらず、です。
本書では、それを元に戻し、物理の本来あるべき姿を学んでいただくだけです。したがって、「裏ワザ」というよりは、むしろ「表ワザ」なのです。
微積で解いて得する物理(細川貴英, オーム社, 2017)
「微積で解いて得する物理―力学/電磁気学がスラスラ解ける」を初めて読んだのは高校生の時でした。
いよいよ受験生になる覚悟を決める高校2年の3月,本屋で見かけて買ったその本が僕の物理観を変える最初のきっかけになりました。
高校物理では指導要領により, 不可分であるはずの物理と数学が切り離されて教えられるため, 物理が本来持つ数理的な美しさが損なわれたカリキュラムになっています。
微積で解いて得する物理:こんな人にオススメ
- 「微積物理」に興味のある受験生
- 「微積物理」を予備校で習う受験生
- 「微積物理」を知らずに合格した大学生
「微積物理」に興味のある受験生
これから物理の受験勉強を始めるのならば、志望大学合格のために、是非とも微積を武器にしてください。本書は「物理に微積を持ち込むのはハードルが高い」という通念を覆すために書かれた参考書です。「なぜ物理に微積が必要なのか」という部分の解説から出発し、最終的に「実は物理は微積を使ったほうが簡単だ」という結論を示す内容となっています。力学と電磁気学に関して、受験生が大学合格のために必要な知識を効率的に得られるよう工夫に工夫を重ねました。
とにかくすらすら読める本にすることを意識したので、読書をする感覚で読んでください。本書を読めばあなたの憧れている「微積を使った物理」が、手に取るように理解できるはずです。
微積で解いて得する物理(細川貴英, オーム社, 2017)
「微積物理」を予備校で習う受験生
予備校には、微積を駆使して物理の本質を教えてくれる素晴らしい先生方がたくさんいらっしゃいます。山本義隆先生(駿台予備学校)や苑田尚之先生(河合塾、東進ハイスクール、城南予備校)などが有名ですね。私はこのような信頼できる先生方の授業を受けることを受験生に推奨していますが、一方で、これらの授業が本質を突いているがゆえに、一部の受験生に大変な努力を要求してしまっていることも事実です。しかし、物理に微積を持ち込もうとしたあなたの判断は正しいので、絶対に諦めて欲しくはありません。本書には、これらの授業に付いていくのに苦労している受験生、または挫折してしまった受験生の「そこが知りたかった」が網羅されています。
解説の仕方は違えど、本質を突いた先生の授業内容はみな同じです(物理の本質はこの世にひとつしかないからです)。本書はその本質を、極限まで効率的に、極限まで噛み砕いて解説したものです。もしあなたがこれらの先生の授業を受けているならば、本書の内容は確実にその授業とリンクしているはずです。
微積で解いて得する物理(細川貴英, オーム社, 2017)
「微積物理」を知らずに合格した大学生
うすうす気付いているとは思いますが、微積を使った物理を知らずに大学に入ってしまった場合、試験前に確実に苦労を強いられます。試験前日に徹夜するぐらいなら、早めに始めましょう。本書の内容はすべて、大学で学ぶ物理にそのまま適用できます。そして大学特有の堅苦しい教科書よりも、ずっと読みやすくわかりやすいはずです。本書は受験生に対して授業を行う感じで書いているので、「受験においては」「高校では」などという言葉がよく出てきますが居心地が悪いと感じないでください。むしろ「受験生でも読む本なんだから自分も理解できないとやばいぞ」と思いながら読んでもらいたいのです。
受験生とは違い精神的、時間的な余裕がある分、存分に楽しみながら読んでください。
微積で解いて得する物理(細川貴英, オーム社, 2017)
微積で解いて得する物理:まとめ
この記事では内容についてはほとんど触れていないため、興味のある方はぜひご自分で内容をお確かめください。
記述にやや不正確な点があるのも否めませんが, 微分積分を用いて行う解析的な物理に馴染みのない人がその一端を覗くための導入にとても良い本だと思います。
物理の美しさを理解する一助になれば幸いです。